限氏物語-風の調べ・闘争する獣-

オタクがオタクしてる様子を綴る

劇場版HFについて原作オタクが語る

原作を何度もプレイした士郎とイリヤが大好きなオタクの感想です。あの映画を見て心から楽しめた人には不快な内容かもしれないですが、映画を一度見ただけでは分かりづらそうなことの補足をしているのと、僕としては意見の交換をしたいので読んでほしいです。無理になったら適当にブラウザバックするなりしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前提として、原作を一切知らずに見た人にとっては面白い内容だったはずです。ところどころ説明が足りないと感じる部分もありましたが、派手で見応えのある戦闘シーンは制作会社の十八番で満足した人も多いと思います。

では原作オタクの琴線に何が触れてしまったのか、書いていきます。

 

士郎と桜の物語と称しておきながら桜しか満足に描けていない

これは2章のパンフに掲載された監督へのインタビューを見て思ったことです。確かにHFはボツになったイリヤルートの要素が入ってるものの、本質は桜ルートであり、3章合わせて約6時間という時間的制約があります。全て描けないのは致し方ないことです。だから僕は2章の『ローレライ』(士郎とイリヤのイベント)がカットされたこともしょうがないと感じ、お気持ち表明せずに面白かったと言いました。3章もきっと士郎と桜を素敵に描いてくれるのだろう、と勝手に期待しました。

まず、2章は面白かったです。なぜなら2章は桜を描けば自然と士郎を掘り下げることができるのだから。桜を描くことしか考えていない監督も士郎が正義の味方としてあり続けるのか、桜の味方になるのか、そこの悩みを描かなければ話は成立しません。だから結果的に上手くいったんだな、と今になって思いました。

では、3章において士郎の描写の何が足りなかったのか。

左腕を失った士郎は移植したアーチャーの腕を使い投影魔術を行使します。しかし、それには代償があり、使えば使うほどアーチャーの腕に浸食されていき士郎の記憶が摩耗していきます。例えば宝石剣を投影した時、イリヤと共に記憶を覗きます。その後、急に衛宮邸で士郎が寝ているシーンに変わりましたね。それは疲労で眠ったとかではなく、投影魔術の代償で投影してから帰路に着くまでの士郎の記憶が抜けてしまっているのです。一応、他にも大空洞に行く前にそれを感じさせるシーンがありましたが察しのいいオタク以外には伝わりづらいのかなと思いました。

士郎の心情描写がある原作ではそういったシーンでプレイヤーに「このまま投影してたら士郎がやべえ」と思わせ、より一つ一つの投影に緊張感を持たせられました。

大空洞でアイアスとルルブレを投影し、さらに記憶が摩耗します。ライダーの名前を忘れてしまいますが、それでも共に戦った仲間と信じ、桜と家の鍵を渡します。

そして、イリヤが自分の代わりに大聖杯へと向かうシーン。もう誰だったかすら思い出せないけど大事な誰かへと叫ぶあの瞬間もなんか知らんけど声が出てねえなとなり、感動が薄れてしまいました。

「仲間のため、桜のために自らの危険を顧みず力を解放して戦ったのにその仲間のことを忘れてしまった」ということをあのシーンに到達する前に視聴者の前提条件として与えられなければ僕は作品としてHFの映像化として失敗だと思います。

 

 

士郎に関してもう一つ。

セイバーにとどめのアゾット剣を刺すシーンです。原作ゲームではここでセイバーを殺すか生かすかの選択肢が出現します。プレイヤーの選択は士郎の選択です。知り合い、友人の原作プレイヤーという少ないサンプルですが、どの人もこの選択を即決できた人はいませんでした。(中にはセイバーを生かして殺された人もいる)それくらい大事な士郎の決断なのに士郎に躊躇いもなくセイバーを殺させた監督を素直に許せねえな、と感じました。別に士郎に殺しを躊躇させろと言っているわけではなく、せめて無駄にクソ長いライダーvsセイバーとかその後の宝石剣をぶんぶん振り回す凛の尺を士郎とセイバーの出会いとか握手とかちょっとした回想にあててそれでも桜を救うために殺すって決意の描写くらい入れてもいいんじゃないか、と。刺される側のセイバーだけ「士郎…」ってこんな悲しい片思いクライマックスで見たくなかったわ。HFの本質は戦闘シーンじゃないだろって僕は言いたいです。

まあ、こんな感じで士郎と桜の物語と称し、本当に士郎の桜への心情描写だけを描くクソ作品でした。泣けば偉いというわけではありませんが、2章でバカほど泣いた僕が3章で1滴も涙が出なかったのはよっぽどだと思います。

桜の描き方は1章の冒頭部、士郎との出会いからやったこと含めて本当に良いと思いました。パンフの付属CDも士郎と桜の関係が暖まる過程が見られて本当に良くて期待していただけに残念です。

突っ込みたいところは他にも1章のランサーvsアサシンとか2章の慎二が士郎を呼び出した場所とか3章の凛vs桜とかのufotableによる公開作画オナニーに関して思うところありますが、どうしても許せなかった部分ではないので今回は書きません。

 

なにか解釈に関して意見とかあったらください。原作者ではないので自分も完璧ではありません。待っています。